山頭火の愛した湯田温泉 「たとへ生まれ代わるにしても、私はやっぱり、日本の、山口の、山頭火でありたい。」

JR山陽新幹線の新山口駅南口には「種田山頭火之像」が建てられています。
生涯に8万を超える句を詠んだ俳人「種田山頭火」は、防府市の大地主の家に生まれ、高校を首席で卒業するなど大変優秀な人だったそうです。
その後不運が重なり、妻子を連れて夜逃げ同然でふるさとを後にしました。

出家した山頭火は、1926年44歳の時に句作の旅にたちました。
「分け入っても分け入っても青い山」

「こころ疲れて山が海が美しすぎる」
感性溢れる自由律俳句に、山頭火の繊細さがあらわれています。

1932年、50歳をすぎて山頭火は小郡(現・山口市)に「其中庵(ごちゅうあん)」という草庵を編みました。
其中庵から湯田温泉までは約12キロありますが、山頭火は湯田温泉がお気に入りで、せっせと通っていたそうです。

1938年56歳の時には湯田温泉に部屋を借り「風来居」と名付けました。
「温泉といふものは有難いものである、私は入浴好きだが、温泉にはいると、身心が一新されたやうに感じる。湯田温泉を近くに持つてゐる私は幸福である。」

酒で身を持ち崩し、自分のことを「無能無才」と嘲ずにはいられない山頭火でした。
「どうしようもないわたしが歩いている」

「まっすぐな道でさみしい」
「うしろすがたのしぐれてゆくか」
そんな山頭火にとって湯田温泉は、体と心を癒す安らぎの場所だったようです。
「ま昼ひろくて私ひとりにあふれる湯」
「あかるくあつくあふれる湯にひたりおもひで」
「朝湯こんこん音たててあふるるよ」

山頭火の愛した湯田温泉はアルカリ性単純温泉で、肌によく馴染むやわらかい湯ですが、ph値が9.14もありクレンジング効果が高いことが特徴です。湯田温泉に足しげく通っていたという山頭火は、実はお肌ツルツルだったかもしれません。

ホテル喜良久の温泉大浴場「美肌の湯」で、山頭火の愛した湯田温泉をお楽しみくださいませ。

木草弥生い茂る(きくさいや おいしげる)弥生3月

3月に入り、ホテル喜良久のある山口市でも、吹く風の中にぬくもりが感じられる今日この頃です。

旧暦では各月それぞれに「皐月」「如月」など、 行事や季節感に合わせてつけられた 和風月名という呼び名がありますが、3月は「弥生」。
「弥生」は木草弥生い茂るという言葉が短く詰まったことが由来とか。

童謡さくらさくらで「さくら、さくら、弥生の空はー」と唄われ、「弥生」には桜のイメージがあるかもしれません。
実は旧暦で定められた和風月名の季節感は、現代の暦とひと月程度ずれがあります。弥生は現代の4月に当てはまる和風月名なのです。

明治時代、1年が354日で不便の多い旧暦から1年365日の新暦に変更されました。その際、季節感がひと月ずれることに構わずに、年中行事の日付はそのままとされました。
旧暦3月3日は新暦の4月、旧暦5月5日は6月にあたります。

 桃の花の開花時期は例年3月半ばを過ぎてからなので、現代のひな祭りは正確には桃の節句とはいえないのかもしれません

全国各地には、いまだに旧暦で行事が行われるところがあります。
6月に鯉のぼりが泳ぐ地域があれば、8月に七夕まつりを行う地域もあります。
山口県萩市では、「萩城下の古き雛たち」が開催中ですが、萩ではひな祭りを旧暦で祝う風習があるため、展示は毎年4月3日まで行われます。
代々受け継がれてきた気品あふれるお雛様。
桃の花の香りが漂うこの時節に飾られて、お雛様も嬉しそうです。

「萩城下の古き雛たち」
https://www.hagishi.com/hina/